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私と鯖街道(その5)

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二度目の鯖街道

 翌年の鯖街道は、雰囲気も分かり、自分なりの楽しみ方についても見つけ
ることができるようになった。このときに書いた感想文がこの時の気持ちを
正直に表しているので、全文を掲載する。

-鯖街道2000(きっと忘れない夏の日)-

 8月4日、心配されていた台風もどうやらそれて雨の心配をしなくていい
かと思ったら、今度はうだるような暑さがやってきた。

 鯖街道キャンプウオークも、公文から歩く会に移行して今回で2回目、今
年の参加者は17名と人数的にはやや少ない感がしたが、3班編成で少人数
なりにみんながまとまってくれるんではないかという期待もあった。

 京都市内の出町商店街で出発式を行い、そこから鞍馬までは叡山電鉄で移
動した。終点鞍馬駅は木々に囲まれた山の中にあり、蝉時雨の降る中、先行
したサポート組が駅で待っているとみんなを乗せた二両編成の小さな電車が
ゆっくりと登ってくる。出だしから綺麗な光景を見させてもらい、ちょっと
いい気分。

 1日目の花背峠は、とにかく暑い、暑い。今年は前の晩に深酒をしなかっ
たので去年よりは楽に峠を越すことができた。マムシ注意の八丁平では幸い
にマムシの姿は見えず、アオダイショウの出現をみたのみで、あとはしごく
安全に道程をこなすことができた。特に小学4年生の女の子二人は以外に元
気で、山の木々や草花に興味を示しつつ遅れずに歩いている。全体としては、
まだこの時点では仲良し同士くっつていて班ごとにまとまりをみせていない。

 1泊目の大黒谷キャンプ場での夕食は飯盒炊さんにバーベキュー。リーダ
ーの指示のもと、各班ごとにみんな楽しそうに夕食の準備にかかっている。
まだお盆前のせいか、他のキャンプ客もまばらで、ほとんど鯖街道キャンプ
ウオークの貸し切り状態だ。

 日が暮れると山と木々に囲まれた間から降るような星空が見える。今夜の
イベントは花火とスイカ割り。そんななか、当日誕生日を迎えた私を皆が歌
と花火で祝ってくれた。こんな誕生日は40年間を通して初めてで、うれし
くもあり、てれくさくもあり・・。

 その晩、体調をこわした女の子を救急車で京都市内へ搬送するアクシデン
トもあったが、冷静沈着なスタッフの協力で無事に病院に収容することがで
きた。幸い、大事には至らなかったようで一安心。彼女が来年もまた参加し
てくれることを祈る・・。

 2日目に入ると皆の疲れも徐々に出はじめ、私の仕事も忙しくなってきた。
疲れの原因はメンタル半分、体力半分といったところか。しかし女性に対す
る対応は、やはり男では心もとない部分があり、その方面はリーダーのYさ
んに一任することにした。主な症状は筋肉痛、マメなど。普段運動をしてい
る者でも長距離を歩くのは負担が大きいものだ。

 今年の夏は特に暑い。じっとしていても汗が流れ落ちてくる。そんななか、
3日かけて60キロを歩きとおすということは大変なことだ。心と体がおか
しくなるのも当然なことだ。そんななか、班単位で行動していると二日目に
はお互いに打ち解けてきて色んなことを喋りながら歩けるようになってくる。
元気のいい中学生の連中はともすれば遅れがちな小学生を置いていってしま
いがちになるが、高校生、大学生がそれらのバランスをとりつつ、年代を超
えての連体感が歩くことを通して形成されていくようだ。

 根来峠越えは、みんなの体力の限界に挑む意味もあっただろう。前半は急
な上り坂が続き、肩に荷物が食い込み、なんでこんなことを毎年やっている
んだろうと思った参加者もいただろう。しかし根来峠の爽やかな木陰で記念
写真を撮る頃にはここまで登ってきてよかったという満足げな表情になって
いる。

 上根来山の家での夕食後のキャンプファイヤーではリーダーたちの巧みな
リードで盛り上がり、中には喋りながら涙ぐむ者もあった。この夜はみんな
にとってきっと忘れない夏の夜になっただろう。

 夜の山里を歩くナイトウオークに出発するみんなを迎えたのは、道の両側
に燈る蝋燭の列だった。ずらりと並んだ仄かな光は思わずため息が出るほど
に幻想的で、光の道の先は別の世界へ続いているような気持ちになってくる。
心憎い演出に、夜道を歩くみんなもみとれている。

 夜道を歩いて二泊目の下根来小学校に到着して夜食を食べた後、二日間の
疲れがたまっているのだろう、夜更かしする子供もなく、みんなすぐに眠っ
てしまった。スタッフもミーティングをそこそこにすまし、高いびき・・。

 三日目、今日は最後の日だ。みんな終着地めざしてがんばって歩こう。そ
れにしても今日も暑い。みんなの疲れもピークに達しているだろう。重い足
をひきずって歩く子供の顔には表情がない。元気な子らは元気のない子供を
励まし、みんなでゴールを目指す。小浜の町にはいり、後もうすぐだ。古い
町並みを通り過ぎると突然目の前に青い海が広がった。やった!終着点だ。
人魚の像の前でへたり込む。とうとうたどり着いた・・。海からの潮風が心
地よい。ほんとうにきてよかった。

 そのあと鯖街道の起点であるいずみ商店街へ移動し、商店街の方々の心づ
くしの漁師鍋に舌鼓をうつ。この鯖の入った鍋はほんとにおいしいんです!
暑さで食欲がないと言っていた子らもいつのまにか熱い鍋をすすっている。
いつまでもいつまでもこの時間の中にみんなと一緒に身を置いていたい気持
ちでいっぱいなのだけど、始まりがあれば必ず終わりがやってくる。

 小浜から電車に乗って京都駅まで行き、解散式を行った。みんなこの3日
間でずいぶんと逞しくなった。何事かをやり遂げた達成感が彼らを内側から
変えたのだろう。暑くて、つらくて、不便なこのキャンプウオークに、なぜ
みんなは何度も参加するのだろうか。クーラーのきいた家でテレビゲームを
しているほうがよっぽど楽なのに。なぜって聞かれたらみんなはどう答える
んだろうか。達成感、充実感、爽快感、いろいろあるだろう。だけどみんな
同じなのは、「また来年も来ようね!」という気持ちだろう。ほんと、この
鯖街道キャンプウオークは参加者、リーダー、スタッフを通してみんなを惹
きつける不思議な素敵なキャンプウオークだ。

 鯖街道キャンプウオークを通して特に頼もしく感じたのは大学生のリーダ
ー、スタッフのみんなが去年よりもまた成長していたことだ。去年よりも今
年、さらに来年と、鯖街道にかかわっていく彼らは成長を続けていくだろう。
自分の若かった頃を振り返ってみると、果たして彼らほどの精神性を持ち合
わせていたのだろうかと反省することしきりである。

 やがて彼らが社会に出たときに必ずこの経験が成果を表わすに違いない。
次代を担う若者を育成する、そういった意味においてこのイベントを途中で
終わせてしまわないように私を含めて世の大人達は努力をしなくてはならな
い。根来の里に燈った未来への灯火を消さないようにするのは我々大人の義
務でもあるのだ。

リーダーたちへ
 いつのまにか私はみんなの倍近くの年齢になってしまいました。いったい
自分は今まで何をしてきたのか、なんて無駄に歳を重ねてきてしまったんだ
ろうかと君たちを見ていると感じました。
 自分も苦しいのにいやな顔ひとつみせずに笑顔でみんなの世話をしていた
Yリーダー、初めてのリーダーは大変だったのに一生懸命にやっていたHリ
ーダー、元気のかたまりKリーダー、いつも細かいところにも気をくばって
いたのがよくわかりました。君はきっといい先生になれると思います。スタ
ッフのK2君、人柄の良さからみんなに文句をいわれながらもグチひとつこ
ぼさずに一番大切な食材の準備をずっとしてくれました。そして頼りになる
M君。なんだかんだいっても大人も子供も君のことを一番頼りにしていまし
た。君は統率者の資質があります。
 私は3日間という短い間でしたが君たちと出会えて色々なことを話せたこ
とを本当に嬉しく思います。
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おきらく道場主

Author:おきらく道場主
柔道弐段剣道弐段腹参段のあやしい絵描きのおやじです。

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