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お遍路さん(その17)38金剛福寺~真念庵

38金剛福寺~真念庵

区切り遍路土佐の国 第4回 3、4日目

11月3日(日)
今日は日曜日なんだあああ。天気予報によると曇りのち雨。ああ~、雨はいやだなあ。
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0530 朝食はしっかりいただく。
地鶏の卵は小ぶりでもおいしい。卵かけご飯が最高やね。
朝食のお膳の横にお接待の昼食のお握りがおいてある。
いいなあ、こういった細やかな気遣い。
納豆が食べられない大阪のオヤジのために冷奴をすばやく整えてくれてもいました。

0549 まだ外も暗い。潮騒の音が薄暗い海岸に響く。
リュックに反射板を取り付け、いざ出発。
三十八番金剛福寺までは20km、そこから今日のお宿までは7km。8時間以上かかる。
足の裏よ、もってくれ…。
最初は釘を打ち込まれるような痛さだった足の裏も、
歩くにつけて馴染んできて、多少の痛さも楽しむことができるようになった。
わしはマゾか?マゾにでもならなきや歩けんよ!
国道沿いに行くとやがて海岸線をショートカットできる遍路道に分かれる。
大岐海岸を歩く道です。
「近道」というと何かしらのリスクを孕んでいる危険性が大きいのを
お遍路道を歩いてみてよっく解ったつもりでいたんですが、
それでもやっぱり近道を選んでしまう。
大概歩きにくい道のりなんやけどもね。
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これも修行と思えばいいかああ。浜へと至る所に小さな橋がある。
増水した時には渡れない橋だそうだ。
この橋もガイドブックに載っていて、ここを渡ってみたかったので、
この時点では不満はありません。
しかし、大岐海岸に出てみたら・・・砂浜の道を延々と歩くことになりました。
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ほんと、砂の上を1.5km歩くのは疲れる。山道よりも疲れますがな。'.
浜ではサーファー達が朝早くから集まって楽しんでいます。
40分以上かかったんじゃないだろうか。やっと砂浜を渡りきる。
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金剛福寺への案内がある橋を渡り、山道へ。
今回は道行くお遍路さんたちが沢山いるので遍路道の風景として後ろから写真を
こっそりと撮らせていただきましたがな。やはり絵になるなあ。
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コンパクトカメラでは所詮この程度ですが。
足摺岬は土佐清水市にあり、漁港が多い。海岸線の道を歩いているとカツオの加工場があり、
ゆでたカツオの香りが強烈に漂ってくる。ああ、これがテレビで見た鰹節を作る所か。
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とっても興味深い。ニャイ~ンと猫もいる。おこぼれをいつも貰っているのかな?
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休憩した時に、朝もらったお接待のお弁当を開けてみる。
お握り2個、バナナ1本、乳酸菌飲料、飴、お菓子と濃厚な気配りに感動してしまう。
感動した勢いで、ちょっと時間は早いけども全部食べてしまいました。
足の痛さは相変わらずですが、着実に歩を進めることができます。お大師様のおかげか。
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お遍路小屋の看板が目に留まる。かなり本格的な通夜堂のようです。
洗面所、洗濯機も置いてある。ここならば数日は泊まることができるでしょう。
ここは雑誌を見ていて知っていたんですが、
現地で見てがっかりしたり期待通りだったり期待以上だったり、味わい深い。
久百々で一緒だった女の子が早くも三十八番を打ち終わり、引き返してくるのに出会った。
彼女は休みを取って東京から来ているそうで、このあと高知空港から飛行機で帰る予定です。
「次いつ来るの?」
「う~ん、冬は避けようと思っているんです」
「わしは年末にまとめてやるつもり。四国の冬はそれほど寒くないみたいやよ」
「そうですか…じゃあ私も年末に来ようかな」
またどこかで会いましょう。

1230 原生林の森の路を抜けたらいきなり足摺岬に着いた。
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室戸岬のように徐々に現れるのではなくって、ほんといきなり現れた。
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ジョン万次郎さんの銅像も太平洋を見つめて立っている。
三十八番金剛福寺も、いきなりあった。
やっとここまできたなあああああという感慨が湧くように出てきましたがな。
こんな気持ちは初めてです。
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ここはかなりのパワースポットじゃないんだろうか。
寺域はかなり広い。昔から有力者の帰依を受けて発展してきた所なんやねえ。
今日はバス遍路さんの団体さんには出会わない。その代り車遍路さんたちが多くいるよ。
それに足摺岬観光の人たちも立ち寄るから、境内には人が多くいます。
今回の旅では札所はここ一箇所のみです。
大きな声でお経が読めるようになってきました。少しは修行ができてきたんかな?
今日は少し時間の余裕があるので境内を一回りしてみる。
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追力のある仏像群が本堂を取り囲んでいる。
こういった由緒あるお寺をじっくりと見て回ることのできる旅の計画を
立てなければいかんなあと考えることしきりです。
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帰りに山門で、平成の大修理のための寄進がありました。敷石に自分の名前を書いて千円です。
記念の手ぬぐいを頂けるということで、わしも寄進に参加させていただきました。
雨がパラつき始めたのですが、足摺岬灯台を見てみたかったので展望台まで足を延ばしました。
おお、これが四国最南端の場所か!
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補陀落渡海の舞台だった足摺岬から太平洋を見ると、
その先に常世の国が本当にあるような気持ちにさせてくれます。
足摺岬に到達したということで、心の張りが少し緩んでしまったか、足が痛くなってきた。
「万次郎の足湯」という無料の足湯があるのですが、テーピングテープが濡れてしまうので
後ろ髪引かれる思いで後にしました。
手持ちのテーピングテープが底をついていたんです。
お宿までたかが7km、されど7km。今の歩くぺ一スは1kmに25分くらいかかっている。
すすするとお宿に着くのは3時間以上後か・・・こんな事を考えると気持ちが萎えるなあ。
気を紛らわせることは、歌を歌ったり、歩数を数えたり、エッチな事を考えたり
いろいろやった。
海岸道路はうねうねと曲がっている道なので、つい旧遍路道の山越え「近道」を
選択してしまう。「近道」には落とし穴があるんだけど。
久百々の女将さんが教えてくれた、
「足摺岬の旧遍路道は荒れているから通らないほうがいいよ」
という忠告に、足の痛さで頭がいっぱいになり、背いてしまった。女将さんごめんなさい。
忠告通り草深い遍路道でした。台風の影響か道が道の体を成していない。
倒木もある。遍路標識も時として暖昧になっている。
雨も本格的に降りだした。
薄暗い亜熱帯の原生林の中を、「本当にここでいいんだろうか」と
心細くなってきましたがな。
降りになると足の裏も痛い。また釘を打ちこまれるような痛さになってきた。
そりゃそうだ。今日は朝早くから歩き続けているんですから。限界か?
でも引くこともできない。前に進むのみです。
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やっと道路と合流する地点に到達した。すると突然本日のお宿の看板が出現した。
本当に今日はいきなり目的地が現れる日です、

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1612 民宿夕日着
かなり急な坂を登ったところにありました。
心くじけるような坂、と同宿の人もつぶやいていた強烈な坂です。
着いた途端、体中の力が抜けたように玄関に座り込んでしまいましたがな。
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ここはなんだか居心地のいい民宿で、特にここのロビーがいい気持ちになる。
生憎今日は雨で太平洋に沈む夕日が見られないのが残念でしたが、それでも心安らぐ。
今目の宿泊は60代くらいのオヤジ遍路さんとわしの2人のみ。大学医学部の教授だそうです。
今大学の文化祭の季節なんで、その期間を利用して廻っているそうです。
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民宿を独りで切り盛りしている女将さんって、
みんな同じような雰囲気を持っているなあ、と思います。
まず人好き。人嫌いじゃ民宿はできない。それに明るいし、話好きです。
札所の由来とか遍路道の情報など、話題も豊富です。
教授とビールを飲みながら結構長いこと女将と話し込んでいました。






11月4日(月)
夜半にザーザーと雨音がしていたので今日も雨か、と思っていたが、明け方に上がっていました。
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0630に朝食をいただく。なんかもう一泊したいような雰囲気の不思議な宿です。
教授も同じような事を言っておられました。
今日は昨日の道を打ち戻って下ノ加江の真念庵まで行き、そこから中村まで交通機関で行き、
夜行バスで帰る予定です。

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0709 民宿発出発すると、まだ雲もあるものの、青空が垣間見えて
今日の天気はよさそうな雰囲気です。
一晩足を休ませたので今朝は調子よさそうです。痛み止めも飲んだ!
今日は土佐清水市内で包帯など薬を買うことにする。
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中浜村は、ジョン万次郎の生家があるところで、道を少し離れたところに記念館があるが、
今日はよしておきます。教授は是非見に行きたいということで、そちらの路を降りて行かれました。
わしはせめて中浜村の全景を写真に収める。
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山本一力が今「ジョン・マン」という小説を書いていて、
楽しみに読んでいるんですが、わしはどうも物語が大事で、記念館とか生家というものには
実はあまり興味がないのですよ。自分の頭の中でイメージが出来上がっているからでしょうね。
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崖のふちに清水がこんこんと湧き出しているところがあり、この清水が「土佐清水」の由来に
なったところらしいです。さっそくすくって飲んでみる。うん、水だ。

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土佐清水は大きな漁港で休日なのに盛んに白く塗った漁船が出入りしている。
自然に「おいらの船は300トン」の歌を口ずさんでしまう。
さてここの市内で足のお手当用品を補充しなくてはならん。地元の人に聞いてみると遍路道から
少し離れたところにあるそうですが、まあいいや。急がば回れだ。
薬局でロキソニン錠、テーピングテープ、キネシオテープ、粘着包帯などをごっそり買った。
こんなに買うの?と自分でも思ったが、これらがあることでの安心感は半端じゃないよ。

買い物の袋を持ってフンフンフ~ン♪と土佐清水の町を歩いていると、
街中で行乞をしているお遍路さんを二人見かけた。ひとりは年配の薄汚れたお遍路さんで、
スーパーマーケットの入り口にお椀を持って立っている。
もうひとりは若いお遍路さんで、道路に沿った店の門口に立ち、持鈴を鳴らしている。
わしは薬局を探して歩き、彼は道路を挟んで向かい側を歩いて行乞していたので、
嫌でも持鈴の音と行為が目に入ってくる。
行乞は雲水の大切な修行のひとつなんですが、お遍路さんにとって行乞は
下手をすると乞食と紙一重になってしまうと思う。
これは映画「砂の器」を観たせいか。
昔の遍路は難病を抱えたり故郷に居たたまれなくなり四国を放浪していたのが多くいた。
今でも乞食遍路を時々見かけるんですが、大概年寄りだ。若いお遍路さんは何を思って行乞を
しているんだろうか。店前で邪険に追い払われているのを見てしまった。
道路を挟んでわしと合った眼に険があって暗かった。
おい、そんなことをするよりも働けよ!と思ってしまう。仕事をえり好みするなよ!
せめて行乞の経験が、遍路を終えた後役に立ってもらえればいいなと思いました。

高速道路が半島を貫いて走り、そこを通ると一直線で進むことができる。道の途中で一休みし
買ってきた絆創膏で足を念入りにテーピングする。気分的にも楽になったような気がします。
大岐の海岸を過ぎて、昨日見慣れた海岸線の道路を歩く。
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この辺はドングリが沢山落ちていてプチプチと踏んづけるとその分足の裏が痛い。
でも踏んづける感触が好きなんで、ついつい踏んでしまうよ。
山のように落ちているが、このへんのカラスはこういった実は食べないんでしょうかね。
今日は昼食用のパンを用意していなかった。
いざとなったら非常用のカロリーメイトを食べたらいいやん、
と思っていたら、民宿久百々まで到達した。
その隣には確かうどん屋があったなあ。迷わず入ってきつねうどんを頼む。
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大きいお揚げが2枚入っていて食べごたえ満点です。
麺も適度な歯ごたえで、食べやすい。
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下ノ加江川に沿って北上していくと、このあたりの休耕田にはコスモスが植えてあり、
丁度花盛りでとても椅麗です。この花の根は来年の米つくりに役立つのでしょうか。
わしの小さいころはどの田圃にもレンゲが植わっていました。
この根球には窒素を多く含むので肥料としても、花の蜜は養蜂のためにも役立っていました。
もちろん、春先のピンクの花畑は見事な眺めでした。
こういった昔ながらの農法を復活させてくれないかなあ。余談です。

本日のゴールは真念庵です。
近くに中村行きのバス停があり、1600に出る。それに合わせられるか。
もうこの時点で1530です。間に合わなかったらいいや。
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旧遍路道を登ると「真念石」がある。
真念法師は、江戸中期の四国遍路の中興の祖と言われる人で、「四国遍路道指南」という
へんろガイドブックを作り旅の便宜を図ったり、道しるべを建てたりした人です。
彼の建てた「真念石」は現在数個しか残っていないそうで、そのうちの1つがここに残っている。
いかにも遍路道らしい山道を辿るとやがて真念庵に着く。ここは足摺岬から打ち戻って
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三十八番延光寺まで行く中間地点としての遍路宿も兼ねていたらしい。小さなお堂だが、
派手さがなく、仏海庵のような落ち着いた佇まいがある。
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庵の正面には四国八十八カ所の石仏が並んでいる。
ここでの納経所は、集落にある大塚様という家の人がやってくれるということなんですが、
いかんせん一般の農家、常時家に誰かいるわけでもない。
そして看板もないのでどこかもわからん。
電話番号が地図に載っていたので、かけてみても出ない。
まあいいか、次来た時に頼んでみようかね。
he-8d-13.jpg足をいたわる。

バス停まで降りてきた所で、すでにバスが出てしまっていた。
しかたがない。タクシーを呼び、中村駅前まで四万十川を渡って20分。
駅前の民宿に頼んでバスの出る2115まで休息させてもらうことにした。
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夕食は隣のホテルのレストランで「むろと御膳」を頼む。足摺岬なのに室戸とはこれいかに?
おなじみカツオのたたきは、カウンター越しに焼くのが見えた。うまそう。
宿に帰ってさて、どうしようかな?眠たいがこのまま寝過ごすのも怖い。
テレビを見ながら洗濯してしばらく時間をつぶす。

2115 中村駅前バスターミナルから「しまんとブノレーライナー」に乗って
大阪なんばまで帰る。
いつもは夜行バスは寝付きが悪いのですが、なんかあっという間に寝てしまった。
いびき防止のためにブリーズライトをしたが、果たしてその効き目はどうだったんだろうか。
それに足の匂いが自分でも気になる。まわりの人達、ごめんなさああああああああい。

今回の旅は足のマメに悩まされた。酷使したにもかかわらず足も黙って頑張ってくれた。
それにお遍路さん同士の交流も濃密にできたような気がする。楽しい宿を経験できた。
あと一箇所を廻ったら「修行の国」土佐が終わる。
炎熱に晒されたり、台風にずぶ濡れになりながら、足の痛みに耐えながら、
この難行苦行はわしにとって修行になってくれたのだろうか。
目つき顔つきも変わってきているんだろうか。
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柔道弐段剣道弐段腹参段のあやしい絵描きのおやじです。

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