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お遍路さん(其の7)20鶴林寺~22平等寺

20鶴林寺~22平等寺

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7月14目(日)
0430起床。いつもの習慣で、この時間に目が覚める。も少し布団の中でウダウダして
いたいが、手持無沙汰になってしまい、荷物の整理を始めた。部屋に干しておいた洗濯物
はすっかり乾いている。綿の靴下は窓の外に干しておいたので乾いている。
6時半から朝食なので、そのあとすぐに出発できるように荷物をロビーに置いておく。卵
がついていたので生卵かなと思ったらゆで卵、おまけに殻がひっついて剥きにくいよ。ち
ょっとイラッとするが、これも修行と思い、努めて平常心で卵の殻と取り組んだ。

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0640鶴林寺登りにかかる。ここは四国遍路の中での難所の一つだそうで、1に焼山、
2に鶴林、3に太龍と言われる。ええっこれからその難所がふたつもあるんかいな。それ
も猛暑日に・・思わず引き返したくなる気持ちを振り払い、ゆるやかな山道を登る。

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わしはなにより蛇が怖い。四国は暖かいので蛇が多いそうな・・・それに昨目の雨で草む
らには適度の湿り気がある。蛇が出るには絶好の条件が揃っていますがな。あ~やだやだ。
邪念ばっかりで登ると、休息所がある。茅葺屋根でいい雰囲気ですが、どっこいしょと休
むほどまだ進んでいないし、疲れてもいない。
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かなり上まで集落跡や段々畑の跡があり、かつての生活跡がある。その証拠に、お茶の木
を見つけたよ。子供のころ近所の畑の脇にはお茶の木が植えてあって、お茶は自家製だっ
たなあ・・・と思い出す。新芽をつまんで噛む。ほのかな苦みが口に広がる。

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やがて山道は急な階段状になってきた。この階段は自分の歩幅にちょうど合っているので
登りやすい。
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やがて水呑み大師に着く。お大師様が杖の先で地面を突くと、こんこんと清水が湧き出し
たらしい。こういった水にまつわる伝承が各地にある。たぶん弘法大師は水脈を知る技術
を持っていたんでしょうね。冷たいお水をいただき、空になったペットボトルにも入れる。
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ここから急な登りが続く。道の傍には「丁石」と言われる古い道標が立っていて、鶴林寺
までの距離がわかる。江戸時代くらいのものだろうか。一丁≒109mなので二十丁だと
大体2kmくらいだなあ。この丁石を含めた鶴林寺までの道は文化遺産の指定を受けてい
るらしい。古い道を保全するために地元の人たちは常に努力をしているんだなあ・・・と
考えている間にも、汗はとめどなく流れ続ける。山中なので徳島市内のような暑さはない
し、涼しい風も時々ふいてくれるが、いかんせん山登り、筋肉への負荷のために体温が上
がり、そのために汗が湧き出てくる。菅笠の緒にも汗がぐっしょりと染みている。富士登
山の時に学習したことなんですが水分補給は1回90mlが体内への吸収効率がいいそう
です。しかしグビグビと飲んでしまう。
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丁石が一丁の表示となったところで、参道らしい雰囲気になってくる。

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0805二十番鶴林寺着 スタートから3.7km 1時間20分
やはり境内のベンチにリュックを降ろして軽装で納経をする。本堂への長い階段を登り、
立江寺で買ったばかりの持鈴を鳴らしながら読経をする。初めてやってみたんで、様にな
らんよなあ。読経が終わり、階段を半分くらい降りたところで本堂両脇の鶴の像の写真を
撮るのを忘れた!どうしようかなどうしようかな?と一瞬礒踏したが後で後悔したくない
ので戻って写真を撮りましたがな。
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次の太龍寺には、いったん山を降る。ああ、また登りがあるのか・・・という煩悩がよぎ
る。歩いていると煩悩だらけや。ふとアスファルトの道を見ると、子供のマムシがペチャ
ンコになっている。道路に飛び出して車に櫟かれたんやろうなあ。合掌
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那珂川のところまで降りてくる。すると、民家の庭先に自動販売機があるよ!お遍路さん
に行くと、いつもの黒コーラじゃなくって赤コーラが欲しくなる。
実はあんまり暑いんで、川にパンツー丁で飛び込んで身体を冷やしたい衝動に駆られて仕
方がなかったが、河原に降りる道が遠かったので諦めた。

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太龍寺までの山道は、はじめは緩やかな登り道で歩きやすい。道の真ん中で何かが動いて
いる。よく見ると蟹だ。山に住む蟹なんでしょうね。結構あちこちにいる。ここは旧遍路
道なんでお遍路さんはよけて歩いてくれるでレようが、車道だったら車に櫟かれるよ。
ここの山道にも丁石があるが、二十一丁と刻まれている。おかしい。あと1km(約十丁)
のはずなのになあ。歩くに従って二十三丁、二十四丁と増えていく。なんだ?逆方向用な
のかな?
そんなことを考えているうちにも汗が体中から流れ落ちている。顔を汗が滝のように流れ
落ちる。いったいどれだけの水分が身体から出て行ったのだろうか。白分の中の毒素が出
て行ってくれたらいいなあ。
樹間から見える空の色が灰色になってきた。どうやら雨雲が近づいているみたいだ。風も
ふいてくる。「やぱいかな・・」と思ったら車道に出た。駐車場があり、もう山門かなと
思ったら、そこから600mくらいは歩いたんじゃないかな?急勾配のアスファルト道を
しばらく登る。

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1120 二十一番太龍寺着 スタートから20.4km
やっとやっと山門に着いた。左にはお地蔵様、右にはお杜が出迎えてくれる。「西の高野
山」とも呼ばれるほど広大な寺域が広がる。本堂かと思ったら納経所だあ。
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従って本堂にたどり着くには更に長い階段を登っていかねばならない。アジサイが綺麗だ。

本堂でお経をあげていたら、後ろで雨の気配がする。ベンチに置いた荷物が気になるが、
途中でやめられない。次第に雨音が激しくなってくる。お勤めを済ませてあわてて荷物を
軒下に退避させる。あ~、すごい雨だぁ。雷もゴロゴロと鳴っている。昼間の雨は気温を
下げてくれるので有難いが、早くやんでくれないかなあ。
ロープウエイで登ってきた参拝者たちも本堂の軒下で佇んでいる。
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この間にお昼を食べよう。アンパンとメロンパンです。
30分くらい座っていたかなあ。小雨になってきた。大師堂へ向かい、お勤めを済ませて
納経所へ向かう。
納経が終わったらお宿で一緒だった60台のおじさんがやってきた。このあと太龍寺ロー
プウエイで降るそうだ。ここから更に山頂に向けて登ると頂上の絶壁に求聞持修行大師像
があるそうなんですが、その先の下り道が通行できませんと書いてあったんで、二十二番
平等寺までの車道筋を行くことにする。

どこまで続く下り道ぞ。雨の影響で空気が湿っている。汗をかいてもそれが蒸発しないの
で気化熱が発生しない。あ~、暑い。
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鶴林寺、太龍寺を廻る人は、ふもとの坂口屋か龍山荘に泊まるそうだ。山道から見えた綺
麗な風景は、斜面一面に植えられたアジサイやったんですね。

しばらくゆるやかな登り道を歩いていたら、後ろからすごい勢いで雨が追いかけてきた!
バケツをひっくり返したような激しい雨に、急いでポンチョを着たが役に立たない。こん
なに濡れたのは何十年ぶりだろうか。思考がもはや停止状態になる。このおかげで、道を
少し間違えてしまった。遍路道に入らず車道に迷い込んでしまったようだ。道にへんろシ
ールが見当たらないよ。でも道路案内板には「平等寺」と書いてあった。多少回り道かも
しれんが仕方ない、ここを歩くか。

もう靴もずぶ濡れで中の足もふやけている。パンツもぐしょぐしょ。でも体温が下がって
歩みのピッチは上がっているような気がする。
ふもとまで降りたら雨はあがった。スマホのナビで現在位置を確認したら、そんなに大きく
ロスをした感じではない。田んぼの中の国道を歩いていたら、村のチャイムが鳴り始めた。
「いったい何時のチャイムなのか?普通、4時か5時になるんやろうなあ」
スマホの表示で確認したら3時だった!
まだまだ時間は早いぞおおお。頑張れる。

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1600 二十二番平等寺着 スタートから26km
元気を出して歩いたら、平等寺に着きました。
標準どおりの時間で歩くことができましたがな。
思えば八十八箇所のうちの四分の一ですがな。距離にしたら一割くらいだそうですが、やはり
感慨深い。
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濡れたカメラを取り出して、写真を撮る。車遍路が数組、綺麗な白衣とまっさらな杖を手に
参拝している。こっちは濡れ鼠の歩き遍路・・・・
別に歩き遍路が偉い訳じゃなあないけども、ね。
今回の区切り遍路の打ち止めをお大師様に報告して、道中の無事のお礼をしました。

山門横に綺麗なお遍路宿があるんですが、今日は徳島市内にお宿がとってあるんでJR線の駅
のある阿波福井までの5.9kmを更に歩いていく。
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途中、月夜御水大師がある。人によると綺麗な所なんだそうですが、雨の後だし夕方な
んで暗い雰囲気しかなかった。もったいない。

1740 阿波福井駅着 スタートから33km
阿波福井駅に到着。無人駅で、駅前には店も何もない。夕食は・・・カロリーメイトを残った
麦茶で流し込む。次の徳島行きは1827なので、しばらくホームのベンチで休憩する。靴と
靴下を脱ぐと足がふやけている。うちわであおぐと気持ちいいいいいいいい。
やってきたワンマンカーには乗客はまばら、と思ったら途中の駅で着飾った中高生がたくさん
乗ってきた。どこにいくのかな?
小松島市でどっと降りたが、今度は浴衣の女の子たちが乗ってきた。お祭りかい?
1943に徳島に着いた。花火の音がしている。これだな。
後で調べてみたんですが、小松島市でもお祭りがあったらしい。

今夜の宿は「はやし屋旅館」です。素泊まりなんで食事はない。大浴場で汗を流して体重を
測ったら80kgだった。2日間で5kg減ったことになる。多分大部分は水分だろうな。
洗濯をしたあと、外に出て夕食を食べに行くが、飲み屋しかない。コンビニの弁当で我慢
するか。心境の変化かお遍路中は食べることに執着しなくなるようだ。しかしビールは飲み
たい。500mlのやつを買ってきて飲んだら一気に呑んでしまった。普段はこんな飲みか
たはしないんやけどもなあ。体中の細胞にビールが染み渡る。

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今回の区切りうちは、なんといっても暑さとの戦いでした。それに雨。これも修行のうちな
んでしょうね。暑いのが嫌だったり、濡れるのが嫌だったら行かなければいい。こんな辛い
思いをするのにそれでも歩きたい。行きたい。四国がわしを呼んでいるんです。


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おきらく道場主

Author:おきらく道場主
柔道弐段剣道弐段腹参段のあやしい絵描きのおやじです。

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